APSS ユニークな特長(従来型のシミュレータとの比較)


回路解析シミュレータ

APSSは複雑な光集積回路を取り扱うことができる唯一のソフトである。通常のFDTD法などでは集積回路全体を扱おうとすると規模が大き過ぎて、通常に手軽に利用できるPCでは取り扱うことができない。回路には90°、180°の曲がりを含むこともあるが、通常のBPMではこれらは取り扱うことができない。APSSでは回路を構成するデバイスに特化したシミュレーションを行い、そのデバイスで構成される回路特性を評価することができる。また、APSSのGUI(グラフィック ユーザ インターフェイス)も優れているので、設計者は複雑な回路でも容易く設計することができる。


計算手法に立脚するアルゴリズム提供型ではなく、真に問題解決を目的とするソフト

多くの数値解析シミュレータはBPMやFDTD法などの1つのアルゴリズムに特化したソフトになっているが、APSSは数値解析手法に特化するのではなく、解析的手法や数種類の数値解析手法を含んだ構成となっている。ユーザは問題を特に際して最もふさわしい手法を選択することができる。

ステップ型の導波路で、伝搬特性を評価するには通常はBPMを利用する。反射を考慮する領域が存在する場合には、デバイス内部で反射領域をFDTD法で解くように設定し、その他の領域をBPMとして2つのアルゴリズムを組み合わせて解くことができる。必要な設定はプログラムに埋め込まれているので、ユーザはデバイス評価のためにこれらの設定を用途に合ったように変更することができる。

S字や楕円曲線での曲がり導波路では、何種類かの解析的手法や数値解析手法がある。簡単に透過特性や反射特性を評価したければ2Dの解析的手法を選択することができる。もっと厳密に評価する必要があれば、2Dまたは3DのシリンドリカルBPMを利用することができる。曲げ導波路をシリンドリカル座標で伝搬計算をするので、通常のデカルト座標での計算と比較して、離散によるエラーの進入を防止できるため高精度な解となる。


階層的取り扱いの中での正確な解
APSSでは基本となる材料選択から集積回路の露光用マスクパタンまで通した設計のソリューションを提供する。設計作業を簡単にするために、材料モジュール、導波路モジュール、デバイスモジュール、回路モジュールと階層的な構成となっている。このようにして大規模で複雑な問題もいくつかの小さなそして比較的簡単な問題に分解でき、順序良く問題解決ができる。モジュール化して光集積回路を構成するには、設計者はそれぞれのステージ(階層)での問題点に集中することができる。このように分解できることで異なるエンジニアで問題を分担しながら、繊細な問題では専門性を活かしながら効率よく作業を進めることも可能である。このようにAPSSは光集積回路の設計に簡単化し、設計品質を高く保つことができる有力なツールである。


知識ベースの予め定義されたライブラリ
比較的設計経験の浅いユーザにとって、ソフトの使い方、光デバイスに関する教科書を読んで勉強しなければならないとすれば設計してみようとする意欲がそがれるものである。APSSでは初歩的なユーザでも親しみが沸くように、よく使われる雛形をライブラリとして用意してある。ユーザはその雛形に要求されるパラメータ(各部の寸法や屈折率など)を入力するだけで良く、設計の効率化が図れる。APSSではこれらの雛形に加えて、中・上級者にはユーザ定義環境が整っているので雛形やユーザ定義を組み合わせて設計することができる。

a)等価屈折率法は3D問題を2D問題